蜜色トライアングル ~String of origin
6.幸せになって
そして年が明け、3月下旬。
木葉は圭斗の車で空港へと向かっていた。
黒いCZ-Rはスムーズに首都高を走り、海沿いの空港へと走っていく。
「木葉がいないと、寂しくなるな」
圭斗は運転しながら少し笑った。
銀縁の眼鏡に、整えられた黒褐色の髪。
昔から仲の良かった従兄は、相変わらず大人な雰囲気だ。
「圭ちゃん……。あっちに着いて落ち着いたら、手紙書くね?」
「……由弦に破られそうだからメールで頼むよ」
「はは、そうだね」
圭斗の言葉に木葉も少し笑った。
今日の夕方の便で木葉はアメリカへと旅立つ。
CZ-Rのトランクには木葉のスーツケースが入っている。
「次に戻るのは、いつ?」
「んー……多分、正月かな。由弦と一緒に戻るつもり」
木葉は助手席から窓の外を見渡した。
……青い海。
アメリカに繋がっている空。
この空を渡れば、由弦に会える。