蜜色トライアングル ~String of origin



『We are beginning our landing approach.』


天井の明かりが消え、機体の音が大きくなる。

木葉は重力で体がふわっとなるのを感じた。

エレベーターでもそうだが、このふわっとした感覚はあまり慣れない。


――――数分後。

飛行機は無事着陸し、木葉はターミナルで入国手続きを行った。

多少手間取ったが、由弦が手紙と同封してくれた書類を見せるとスムーズに手続きは終わった。


「到着ロビー……ってこの辺かな?」


到着ロビーは人で混雑していた。

さすが国際空港なだけあり、人種のるつぼだ。


その中に一人の男性の姿を発見し、木葉は足を止めた。


――――見間違えようがない。


色素の薄い、ふわふわの茶色の髪。

長い睫毛の奥の、焦げ茶の瞳。白皙の頬。

すらっと均整のとれた長身。

グレーのスーツを着た姿は記憶にあるよりだいぶ大人っぽくなっている。


その瞳がゆっくりと、木葉の方を向いた。


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