蜜色トライアングル ~String of origin
2.大人になった弟
緑の多い美しい街の中を、由弦は慣れた様子で車を走らせる。
木葉は窓の外に広がる景色を息を飲んで見つめていた。
日本と違い、どの家も敷地が広く、芝生が多い。
暖かい日差しが芝生に反射し、きらきらと輝いている。
「キレイな町だね……」
「そうだな。日本に比べると風景が横長って感じがするだろ?」
由弦は運転しながらくすりと笑う。
木葉は由弦の横顔を助手席から眺めた。
完璧なラインの頬。長い睫毛。ふわふわの髪。
昔と変わらぬその顔に、少し精悍さが加わったような気もする。
それはスーツを着ているせいもあるのだろうか?
……というか。
「ねぇ、由弦」
「ん?」
「なんでスーツ着てるの?」
木葉の問いに、由弦はちらりと木葉を見た。
その視線の流し方も依然と違い、どことなく大人っぽい。