ホストなんて大嫌い!?
「…ホストって本名とは別の名前

使うんじゃないの?」

「そんなことか」

優しく微笑んで、髪を撫でる。

「俺さ、両親が離婚してるのね?

しかも、俺が2歳のときに。

母親は俺を捨てて家を出て行って

俺と、親父だけで生きてくってなった時に

思いでも何も残ってない俺に母さんは

この名前だけを残してくれた。

この名前、母さんが付けてくれたんだ。

瞬って瞬くとも読むんだけど

光るって意味があるんだ。

響きと字と意味と…

全部母さんの好みで付けられたんだ。

だから、唯一母さんの残してくれた名前だけは

そのまま使いたくて、店長にお願いして

使わせてもらってる。」

「…そうだったんだ。」

「他には?」

「…じゃぁ瞬の好きな物って何?」

「う~ん…空、かな?」

「空?」

「空ってどこまでも繋がってるだろ?

世界中がこの空の下にある。

離れてても繋がってる気がするんだ。

母さんとかともね。」

「なんか、いいね。

そういうの。」

「お前だって、この空で母親と繋がってるんだよ。」

「あ、そうか。

ねぇ、瞬は彼女とかいるの?」

さっきから、一番気になってた事。

「はぁ?

彼女いるって言ったところでどうなるんだよ。」

ついさっきまで、優しく受け答えていた瞬は

突然不機嫌オーラを放つと

私に壁を作った。
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