ホストなんて大嫌い!?
「あ、起きたか。」

私を覗き込む瞬からは

昨日の不機嫌さは無くなっていて…

安心するとまたに涙が溢れた。

「え?

ちょ、お前どうした。」

「何でもないですぅ。」

自分の手で涙を拭っていると

伸びてきた、手。

その手は、私の頬を包み込むと

長く細い指が伸びてきて、その指が

涙を拭った。

「昨日は、ごめんな。

勝手に一人でキレたりして。」

そういって笑う瞬の横顔は

とても切なそうで…

誰を思ってその顔をしてるのかは分からないけど

きっと大切な人なんだろう。

「いえ、誰にでも言いたくない事ってありますから。」

「朝飯、食うか!」

お互いに出来てしまった、暗い雰囲気を消すように

明るい声で言う、瞬。

「じゃぁ、顔洗ってきます。」

ベッドルームを出て、ドアの閉まる直前に

瞬の深いため息が聞こえた。

…あ、私迷惑なんだ。

瞬のため息が私がここに居座ることのため息だと

理解した私からは、さっき止まったはずの涙が

また、あふれ出した。

瞬と会ってから、涙しか流してない…

冷たい水で顔を洗い、涙の跡を消す。

リビングに着くと、目に入った朝食。

朝ごはんだと言うのに、手の込んだ料理。

「料理できるんだ。」

ボソッと呟くと

「おぉ。

こう見えても、父子家庭で育ったし?

俺が作らないと飯食えないんだよ。」

サラッと言う、瞬。

でも、やっぱり横顔は切なそうで…

瞬の抱えてる大きなものが

目に見えた気がした。



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