銀色の、雨ふる国
ぼくらの住む-珊瑚色の雨ふる国-に、珊瑚色の雨がふっていたのは
ぼくが生まれて、5年と少しまでの間。
その頃の雨はやさしくて、あたたかくて
ローザの瞳のように、やわらかく、繊細で美しい光を放っていた。
雨が大好きな灰色猫は、空から降りてくる雨粒をずっと眺めていた為に珊瑚色の瞳になったという。
まあ、これも
-虹の向こう側の国-と同じように、昔話の域を、出てはいない話なのだけれど。