銀色の、雨ふる国
「つまらない、つまらないよね?ローザ」
キィ、キィと椅子を揺らしながら、リルカは膝の上のローザを撫でている。
「みゅーあ」
ローザは、灰色猫特有の、生まれたばかりの、赤ん坊のような声で返事をした。
もともとが大人しい性格の灰色猫は、あまり声をあげて鳴くことがない。
外に出たい、とか、おなかがすいた、とか、何か用件がある時にも
泣き声を立てずに、珊瑚色の瞳で
じぃっと、ぼくを見つめていることの方が多い。
だからローザが返事をする時は、ちゃんと、会話が成り立っているのだと
ぼくらは勝手に思っている。