銀色の、雨ふる国

「毎日、毎日、ふるのは、つめたい銀色の雨ばかり。珊瑚色の雨は、いつになったらふるの?ローザが大好きな雨は、こんなにつめたい雨ではなかったのでしょう?」



この国に珊瑚色の雨がふらなくなったのは、リルカが生まれて、少し経ってからのこと。

リルカの記憶の何処を探しても、あのやさしい、珊瑚色の雨の風景はない。

リルカの知る雨は、今もサラサラとふり続く

つめたい、つめたい、銀色の雨---



「明日になれば、雨はやむのかな」

ぼくの答えなど期待していなかったように、リルカは次の言葉を口にした。

「さあ、それは・・・父さんか、母さんに聞かないと・・・」

本当は・・・聞いても、きっとわからない。



だからこそ2人は、ぼくらを置いて、研究室にこもっているのだから。


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