銀色の、雨ふる国
「明日、ティアラが、ローザと遊びたいって。先週からの約束」
リルカはそう言うと、ローザを両手で、少しだけ高く持ち上げて見せた。
ティアラはリルカの幼馴染で、ぼくらの家がある高台の、裾野のいちばん端っこ辺りに住んでいる。
ローザと同じ灰色猫を飼っていて、遊びにくる時は、いつもオス猫のロックを連れてくる
。
「雨が、やんでからでないと」
「この前もそれでダメになった」
「リルカ」
「ローザだってロックに会いたいって」
「やんでからでないとダメだ。銀色の雨がふっている時は、学校だって休みになるだろう?リルカ、わかるよな?」
「・・・」
「リルカ?」
「・・・わかんない」
プイ、と、横を向いて、リルカはローザを抱いて2階へと逃げて行った。