銀色の、雨ふる国
-正午-
クツクツと鍋の中のスープが煮える音を聞きながら、ぼくは電話に手を伸ばそうかどうしようか迷っていた。
我ながら、兄バカだとは思う。
けれどリルカは、きっと2階で泣いている。
両親に電話をして『雨がいつやむのか』を聞いたところで、何の解決にもなりはしない。
ぼくらの国にふり続く銀色の雨は
いつまでもやむ気配はなく
ひそかに、ひそかに、ぼくらの心に忍び込んでは
諦めという名の種の植え付けていく。
鍋の煮立つ音が激しくなる間ぶん悩んだものの
結局ぼくは電話をする事が出来ないまま、2階にいるリルカを呼びに行った。