銀色の、雨ふる国
「・・・やわらかくていい匂い。今日はレンズ豆とチキンのスープね?」
「うん。それと、糖蜜のパン」
銀色の雨の話題はすぐに終わり。
これも諦めることに慣れた、ぼくらの習慣だろうか。
「私、兄さんの作ってくれる、スープすきよ。母さんのより、おいしいから」
「それは母さんには言っちゃダメだよ?母さんは研究で忙しいんだから」
クスクスと笑いながら階段を降り、火の灯していない暖炉の前で食事をとる。
ローザはぼくらの足元で、軽くゆがいたチキンを食べている。