銀色の、雨ふる国
はじめて虹を見たのは、リルカが生まれた日のことだった。
あたたかく春の雨がふるキラキラの午後。
リルカは、五つ年下の、ぼくの妹。
父さんに似て色黒のぼくと違って、母さんと同じ雪のように白い肌をもつ
可愛い可愛いぼくの妹。
虹の向こう側には、一度だけ願いを叶えてくれる
赤い木の実が大好きな魔法使いが住んでいて
虹の階段を見つけた子供たちが遊びに来るのを待っている。
小さい頃から何度も寝物語に聞いたその話を
ぼくは信じて
その日、リルカの幸せを願う為に、虹の階段を探してみたけど
どんなに、探しても、探しても
その階段を見つけることは、出来なかった・・・