銀色の、雨ふる国
そのリルカの後を追って、本物のローザ。
ぼくは毛布と布団を直してやりながら
「コルツ川が決壊したらしい。明後日ティアラに会うのは、難しいかもしれないな」
と、寝る前にラジオから流れてきた内容を話した。
銀色の雨がふるようになってから
ぼくらの国には各家庭に一台ずつ災害ラジオが設置され
日に何度か、国からの天気情報が入るようになっている。
その情報の大元は、父さんと母さんがいる-eden-から、流されるものなのだけど。
「・・・ティアラ、大丈夫?」
ちょこんと、布団から頭を出して心配そうな顔をするリルカ。
「・・・大丈夫だと思う。多分もう避難している」
ティアラの住む家は高台にあるうちよりも、ずっと低いところに建っている為、町を横断するコルツ川の災害で、今までも何度か被害にあっている。
「・・・雨、いつやむのかな」
2人の間で横になるローザの少し硬い、けれどヴェルヴェットのようになめらかな被毛を撫でながら、リルカ。
話しても、考えても仕方がない。
だけど、考えずにいられない。
銀色の雨はいつのまにか
珊瑚色の雨よりも、おおきく、ふかく
ぼくらの心に、居座りはじめていた・・・