銀色の、雨ふる国
「だめだ」
車が減速することのないまま
雨に煙る森は、どんどんと遠ざかって行った。
「・・・みゅーぁ」
「父さん!どうして!!」
寂しそうな声になるローザの横顔、大きな珊瑚色の瞳に影を見て
ぼくはたまらずに声をあげる。
「だめだ」
「どうして!灰色猫はぼくらの国の希少種でしょう?-eden-に行ったら、もうローザは自分と同じ灰色猫とは会えないかもしれないんだよ?」
「・・・悪いな、レント」
「父さん!!」
父さんの感情のこもらない声が
ぼくの自分勝手な、子供の正義心に火をつけた。
「父さんは冷たいよ。毎日研究研究で、ローザのことなんかどうでもいいんだね。でも、ぼくらは違う。ぼくとリルカにとっては、ローザは家族なんだ。ローザが悲しいと、ぼくらも悲しいんだ!」