銀色の、雨ふる国
母さんの、その、言葉で
車の中の空気が、蒼く、揺れた。
「国の為の研究、いいえ、わたしたちの研究は、あなたたちの未来の為」
「・・・」
「リルカが覚えていない珊瑚色の雨を、レントが探している、虹の階段が見つかるかもしれない空を・・・」
「母さん・・・?」
「もう一度、見せてあげたくて、なんて、ね。言い訳にしか、聞こえない・・・か」
「母さん」
「・・・ローザを連れていく為にね、父さん、かなり頑張ってくれたの。レントのお友達のセシルも、ローザを連れて行けなかったでしょう?他の地に移り住む時にね、審査があって、移民先の国によって持っていける荷物の総重量が決まっているの」
「荷物って・・・」
「うん。2人分の荷物の代わりって、聞いたでしょ?ローザは本当は許可されていなかったの。それをね?父さんが-eden-を通して、随分前から申請をしてくれていて、何とか今日に間に合った」