銀色の、雨ふる国

「母さん・・・」

「レントの好きな、リルカが見たがっていた珊瑚色の雨はふらせることが出来なかったけれど、この国を銀色の雨から救うことは出来なかったけれど」

「・・・・・・」

「ローザを連れていく、ことだけは、ね?何とか、間に合ったのよ、レント・・・」


と、言って母さんは口を噤むと、溢れる涙を止めることが出来ずに、両手で小さな顔を隠して嗚咽した。




この日、ぼくは・・・




母さんが声を上げて泣くのを、はじめて、聞いた。

そして

父さんの無言の涙を、はじめて、見た。






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