銀色の、雨ふる国
「みゅーあ」
まだ悩んでいるリルカの足元に、おばあさん猫になったローザが擦り寄ってきた。
「ローザ!ローザはどっちが良いと思う?」
ペタリとリビングの床に座り込んで、ローザにマニュキュアの瓶を見せるリルカ。
するとローザは迷わずに、淡いピンク色をしたマニュキュアの瓶をツンと鼻で押した。
リルカはそれを見ると。
「さすがローザ!兄さんよりずっと頼りになる!ありがとう。塗り直してくるわね」
と、言ってローザの頭を優しく撫でると、鼻歌を歌いながら自室へと戻って行った。
・・・すみませんね、頼りにならなくて。
「みゅーあ」
リビングに残ったローザは、そんなオレの気持ちを察したかのか
まるで『気にしないで?』とでも言うように、小首を傾げ、小さな声で鳴いてみせた。