銀色の、雨ふる国

「いや、カインがさ、可愛くない子供だったんだって話。リルカ、砂糖は?」

「スプーン3杯。カインは今が素敵だからいいじゃない。兄さんと違って」


オレがカフェオレを用意している間に、ローザを抱いて当たり前のようにカインの隣に腰を下ろすリルカ。

今ではオレの隣ではなくカインの隣が、リルカの一番安心出来る場所なのだ。


「どういう意味かな」

冷たいミルクでぬるくしたカフェオレをリルカに渡しながら、オレ。

猫好きのリルカは猫舌で、熱い物が苦手なのだ。


「ありがとう。兄さんは昔の方が素敵だったわ。二十歳過ぎてから、急に『オレ』なんて使うようになってしまって。わたし、苦手よ」

カップを受け取りながら、軽く肩をすくめて見せるリルカ。



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