銀色の、雨ふる国
「じゃあね、兄さん、ローザ、いってきます」
嬉しそうに出かけて行くリルカとカインをローザと見送りながら
『ぼく』は2人の未来が、幸せである事を祈った。
可愛い可愛いぼくのリルカは
もうすぐ、カインだけのリルカになる。
「みゅーあ?」
「ん?ああ、入ろうか、ローザ」
少ししめった風に反応したローザの声に、ぼくはそのしなやかな身体を抱いて、そっと、玄関の扉を閉めた。
家の中にも窓から吹き込む風にのって
草をすりつぶしたような、雨のふる前のにおいが広がっていた。
ローザの予報は、雨を知らせる時報よりも正確だ。