銀色の、雨ふる国

ローザを床に下ろしてから、彼女の指定席以外の家中の窓を閉める。

予定通りの時間に空は暗くなり、比較的大粒の雨が、パラパラと地上に降りてきた。


「みゅーあ」


オニキスの黒い瞳に映るのは-eden-でコントロールされた、人工の雨。


けれど、それでもローザにとっては嬉しい特別な時間であるようで

いつもの指定席・・・リビングの出窓の棚に座って

尻尾でピンピンとリズムをとりながら雨がふるのを眺め


時々鼻を窓の外に出して、ヒゲをふるると揺らしては

まだ少し冷たい、3月の終わりの雨の感触を楽しんでいる。
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