銀色の、雨ふる国

とんとん、とととん・・・


ローザの尻尾の演奏を聞きながら

ぼくはキッチンに入り冷蔵庫の中を確認する。

15年たった今でもこの家の食事係はぼくで、可愛いリルカは最近になってやっと花嫁修業代わりの手伝いをするようになった。

デジタル時計の数字はまだ2時を回ったところで、本当はまだまだ早いけれど、遅いよりは良いだろうと思い、夕食の下準備。

相変わらず忙しい両親ではあるが

それでも-サロメ-に来てからは一緒に食卓を囲む回数が増えた。

こちらに来てからしばらくは泣いていたリルカも、今では-サロメ-がわたしの故郷だと胸を張る。


今夜のメニューはリルカとローザのすきなレンズ豆とチキンのスープと糖蜜のパン。

両親のすきな鴨のローストに、カインのすきなシーザーサラダも、用意する。


最後にチーズを削る、とっておきの役割は、可愛い可愛いリルカの為に・・・









< 83 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop