蜜色トライアングル ~Winter Blue
「オレも兄貴を尾行してみたけど、逃げられちまった。車対徒歩じゃ、やっぱ無理だ」
「では今度、おれが追いかけてみるか? CZ-Rならなんとか……」
「でも兄貴も相当運転上手いからな。ヘタしたらカーチェイスになるぜ?」
二人の隣で凛花がはぁぁと息をつく。
公道でカーチェイスなど、考えただけで恐ろしい。
「なんかさー、もっといい手はないの?」
「んー、あとはGPSとかか? 兄貴の車にこっそり……」
「それは犯罪にならないか?」
圭斗は嘆息して言う。
由弦は前髪をかきむしり、どんとテーブルを叩いた。
「あーっ、どうすりゃいいってんだよ!」
「清二叔父さんには言ったのか? もうすぐ退院らしいが……」
「言えるわけねぇだろ、こんなことっ」
由弦は呻くように言う。
凛花はコーヒーを一口飲み、ため息をついた。