蜜色トライアングル ~Winter Blue
「ねぇ冬青さん。……覚えてる? 私があの時、言ったこと」
「俺とあんたが同じだと言っていたな」
「さすが冬青さん。よく覚えているわね」
くすりと馨は笑う。
その瞳は楽しげだが、どこか真剣な影がある。
「私も、ね。……ある特定の種類の人間にしか、体が反応しない性質なのよ」
「……」
「正確に言うと、寂しげな目をした女の子。木葉ちゃんはまさに、私のタイプなのよ」
馨は言い、目を伏せてコーヒーを一口飲んだ。
冬青は冷静な瞳でそれを見つめている。
「あの夜。あなたたちと兄弟じゃないって知って混乱した木葉ちゃんは、私に連絡してきたわ。それで、インペリアルタワーで待ち合わせをしたの」
「……」
「せっかくのチャンス、モノにしないわけにはいかないでしょ? ……でもね……」
馨はそこで言葉を止め、冬青を見た。
艶やかな瞳の奥の、どこか真剣な眼差しが冬青の心を射る。