蜜色トライアングル ~Winter Blue



「あの子。……ずっと、あなたの名前を呼んでたのよ。無意識のうちにね」

「……」

「あなたが本当のお兄さんじゃないと知っても、あの子はあなたを求めてた。だから私、あなたにメールしたのよ」

「……っ……」

「さすがにそんな木葉ちゃんを無理やりモノにするわけにもいかないしね。でもまさか、こんな事態になるとは思ってもみなかったわ」


馨は小さく息をつき、後ろの椅子に寄りかかった。

軽く腕を組み、冬青をまっすぐに見る。


「ねぇ冬青さん。私が反応するのは『特定の種類の人間』だけど、あなたが反応するのは『特定の人間』よね。しかも、ただ一人」

「……」

「しかもそれは好きになってはいけない人。あなたがどれほど抑圧されていたか、私にもなんとなくわかるわ」


馨の言葉を冬青は無言で聞いていた。

……確かに、それは事実だ。

馨の洞察力の鋭さに内心驚きながら、冬青はコーヒーを一口飲んだ。


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