蜜色トライアングル ~Winter Blue



「だから一度解放されてしまえば、どんなことをしてでもその人を手に入れようとする。その人のすべてを支配したいと思ってしまう」

「……」

「あなたはそれだけの美貌も力も、社会的地位も持っている。その全てを使えば、思い通りにすることは簡単よ。彼女はあなたしか見ないようになる。でもね……」


ここで馨は言葉を切り、冬青を見据えた。

――――真剣な瞳。

冬青は内心で息を飲んだ。


「……行きつく先は、破滅よ」

「……っ」

「彼女はあなたに雁字搦めにされて、身を滅ぼすわ」


馨の言葉に、冬青は色を失った。


母の姿が脳裏に浮かぶ。

恋に身を焼き、その身を落とした美しい母。


まさか、自分も木葉も……

同じ道に進もうとしているのか?


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