蜜色トライアングル ~Winter Blue
「ねぇ冬青さん。あなたには木葉ちゃんを幸せにするだけの力も地位もある。なのに一体、何を恐れているの?」
「……」
「何を恐れて、彼女を縛るの?」
「……っ」
「木葉ちゃんともっと良く話し合いなさいな。二人で道を決めるのよ」
馨の言葉は冬青の心に水のように染みていく。
自分が何のために、これまで努力してきたのか……。
全て木葉を護り、幸せにするためだ。
木葉の身を滅ぼすためではない。
今更ながら、それに気が付いた。
「……助言、感謝する」
冬青は言い、立ち上がった。
木葉の姿が脳裏に浮かぶ。
――――ずっと慈しみ、幸せにしたいと思ってきた人の姿。
木葉の笑顔のために、自分はどうするべきなのか。
闇に囚われていた心に、うっすらと光がさした気がした……。