蜜色トライアングル ~Winter Blue
2.同棲宣言
数日後。
木葉は冬青とともに父の見舞いに来ていた。
父は来週退院らしく、身の回りの物を片付けていた。
「久しぶりだな。一か月近くも音信不通とは、薄情な奴らだ」
「ごめんね、お父さん」
木葉は謝り、窓際にあった椅子をベッドの近くに引き寄せた。
冬青もその横に座る。
父は二人の顔をまじまじと見た後、口を開いた。
「……何かあったのか? お前達」
二人の雰囲気が依然とは違うことに気が付いたらしい。
首を傾げる父に、冬青が静かに言った。
「親父。……突然で悪いが、俺達は二人で住むことにした」
「……は?」
「もうマンションも借りてある。いずれはもう少し広いところに移るつもりだが」
冬青の言葉に父は目を丸くした。
無理もない。
一か月ぶりに来た息子と娘が、突然同棲の報告をしたのだ。