蜜色トライアングル ~Winter Blue
「……どっ、どういうことだ、それは」
「私、お兄ちゃんと由弦が兄弟じゃないって思い出して……。で、気が付いたら、お兄ちゃんのこと好きになってたの」
「……は?」
「実はもう、一緒に住んでるの。あっ、でも心配しないで? 道場の方は私もお兄ちゃんも続けるから」
にこにこと幸せそうに木葉は言う。
呆然とする父に、冬青は静かな声で言った。
「混乱させてすまない。だがもう、二人で決めた」
「……」
「俺が木葉を幸せにする。……これが、俺が望む最上の道だ」
はっきり言う冬青に、父はひとつ息をつき、目を閉じた。
しばし閉じたのち、ゆっくりと開く。
その目は前に冬青が見た、優しい笑みだった。
「迷いはないようだな」
「ああ」
「であれば、よい。二人で新しい道を歩いていけ」