蜜色トライアングル ~Winter Blue
3.運命の夜
『インペリアルタワー・ホテル42F 角部屋 from K』
冬青の携帯の画面に無機質な文字が映し出される。
冬青はしばしそれを眺めた後、パタンと携帯を閉じた。
――――22時。
電話してもメールしても木葉から返事はなく、ようやく来たかと思ったらこの文面だ。
「……木葉ではないな」
冬青は呟き、黒いジャケットを羽織った。
手早く財布と携帯をポケットに入れ、部屋を出る。
机の上には書類が散乱しているが、仕方がない。
冬青はジエンタの鍵を取り、車に乗った。
エンジンをかけ、ジエンタは夜の闇の中をすべるように走り出す。
「K……か。誰だ?」
冬青は運転しながら首を傾げた。
圭斗の文面ではないし、ましてや由弦ではありえない。
他に思い当たるといえば……。
脳裏に、白馬で会った女の姿が浮かぶ。