蜜色トライアングル ~Winter Blue



初夏の夜。

梅雨を間近に控え、しっとりとした空気が部屋に満ちる。

梔子の花のどこか甘い香りが、開けた窓の外から入ってくる。

木葉は冬青に背中を抱かれる形でベッドに横たわり、その香りを楽しんでいた。


「もうすぐ夏だね。うちの庭木もそろそろ剪定しなきゃ……」


5月に花が終わったツツジやサツキは、そろそろ剪定の時期だ。

しばらく家に戻っていないので枝が伸び放題になっているかもしれない。


「そうだな。今度の週末に、一旦家に戻るか?」

「うん。ついでに、携帯とか日用品とか……足りないものをまとめて持ってこよっと」


木葉の言葉に、冬青は少し笑って木葉の首筋に口づけた。

しっとりした柔らかい唇。

ゆっくりと慈しむようなその動きが、木葉の体を熱くする。


「ねぇ、お兄ちゃん」

「なんだ?」

「お兄ちゃんは、私のどこが好きなの?」


それはふと頭に沸いた疑問だった。

目を奪われる美貌で、背も高く、頭もよく、武術に優れ、カリスマで高潔な兄。

そんな兄が、自分のどこを好きになったのか?

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