蜜色トライアングル ~Winter Blue



<side.冬青>



梔子の香りの中、冬青は自らの体の下に横たわる木葉を見下ろした。

組み敷かれた白い躰、肌に散った赤い痕……。

その体は梔子よりも甘く、冬青の理性を奪っていく。


「……っ、お兄ちゃん……」


甘い声、甘い躰……。

木葉はどこもかしこも甘い。


冬青はその声に、その体に、どうしようもないほどに溺れていく自分を感じていた。


それは、昔から……。

触れてはいけないと思っていても、手を伸ばさずにいられなかった。

どんなに抑え込んでも、想いは消えなかった。


「……お兄ちゃん、すき……」


潤んだ瞳で見上げる木葉に、冬青の心はなすすべもなく引き込まれていく。

この穢れた手でいくら触れても、木葉の純粋さは陰ることがない。

――――どれだけ汚しても、汚れない躰。

温かい肌に触れるたびに、甘い声を聴くたびに、冬青は木葉に溺れていく。


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