蜜色トライアングル ~Winter Blue
「お兄ちゃん、こういうお店、来たことあるの?」
「いや、ない」
「……デートとかしたことは?」
「ない。お前が一番よく知っているはずだろう?」
兄は嘘をつかない。
となると、兄にとってもこれが初めてのデートなのだろう。
――――何だか、嬉しい。
顔を赤らめた木葉を、冬青は不思議そうな目で見る。
「ところで。……お前、明日誕生日だったな?」
「あ、うん」
「そうか。……一日早いが、渡しておく」
言い、冬青は鞄から小さな箱を出し、木葉の前にそっと置いた。
木葉は恐る恐る手を伸ばし、箱を開けた。