蜜色トライアングル ~Winter Blue



「なぁに、お兄ちゃん?」

「……その、『お兄ちゃん』と呼ぶのをそろそろ止めてほしい」


冬青の言葉に木葉は固まった。

確かに、こういう関係になった以上『お兄ちゃん』と呼ぶのはちょっとおかしい気もする。

しかしずっと昔から『お兄ちゃん』と呼んできたのを、別の呼び方に変えるというのもなんだか戸惑う。


「……じゃあ、何て?」

「冬青、でいい」


いきなり呼び捨て?

……と絶句した木葉に、冬青は少し笑った。


「いきなり変えろというのも無理だろう。徐々にでいい」

「う……うん……」


木葉はぎこちなく頷いた。

――――『冬青』。

確かに『さん』とか『くん』とかつけるのはヘンだが……。

とそこまで考えた木葉は、あることを思い出しはっと顔を上げた。


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