蜜色トライアングル ~Winter Blue



「……苦しいよ、お兄ちゃん……」

「木葉……」


冬青は木葉の髪をさらっと撫でた。

木葉に言ったことは嘘ではない。

そもそも結婚などできる体ではないし、興味もない。

木葉が望むのなら、一生、兄として傍にいてもいい。

それほどに、冬青はこの小さな娘に囚われている。


「……どうすればいいの? ……私……」


木葉は苦しげに身をよじる。

シーツの下の肌は赤く火照り、瞳は潤んでいる。

その瞳に、冬青は魂を吸い取られるような気がした。


「……助けて、お兄ちゃん……っ」


木葉は叫び、冬青にしがみつく。

薬で錯乱しているせいだとわかっていても、その姿態に冬青は自分の理性が吹き飛ぶのを感じた。


――――もう、無理だ。

耐えられない。


< 21 / 137 >

この作品をシェア

pagetop