蜜色トライアングル ~Winter Blue
5.安らぎ
頭が朦朧とする。
木葉はゆっくりと瞼を開いた。
いつのまにか服も着、布団が掛けられている。
「起きたか」
横からかかった声に木葉ははっと顔を上げた。
声のした方に目を向けると……。
「お兄ちゃん……」
冬青はベッド脇の椅子に座り、足を組んで新聞を読んでいる。
その姿は朝のダイニングテーブルで見るものとほとんど同じだ。
黒いスラックスに黒いジャケットで身を固めた兄の姿は、薄暗い灯りの下でも相変わらず美しい。
「……支度したら、帰るぞ」
時計を見ると、朝の4時。
どうやら少しの間眠っていたらしい。
冬青は立ち上がり、新聞をばさっとテーブルに置いた。
その姿を見ていた木葉は、上半身を起こした状態で固まってしまった。