蜜色トライアングル ~Winter Blue
――――なんか、とんでもないことを兄に言った気がする。
――――なんか、とんでもないことをしでかした気がする。
――――というか、裸だったはずなのになぜ服を着ているのか?
木葉は青ざめた。
自分が錯乱していたことはなんとなく覚えている。
……しかし。
呆然とする木葉を見、冬青が口を開いた。
「どうした?」
「……」
木葉は呆然としたまま何も言わない。
冬青は木葉の前に立ち、その頬にすっと手を伸ばした。
「気にするな」
「……」
「忘れろ。悪い夢だ」
兄の静かな瞳が木葉の心に落ち着きを与える。
いつも、木葉が欲しいものをくれる兄。
いつも、安らぎをくれる兄。
厳しいが、いつでも木葉のことを考えてくれる兄……。
木葉は心に温かいものが広がるのを感じた。
「……ありがとう、お兄ちゃん……」