蜜色トライアングル ~Winter Blue



「……」


兄にとって木葉は妹だ。

これまでと変わらず、あの静かな瞳で木葉を見守ってくれるのだろう。

……特別な人ができるまでは。


あの時、冬青は『兄として一生傍にいる』と言ってくれた。

しかし、未来のことなど誰にもわからない。


「……っ、お兄ちゃん……」


兄がいなくなると思うと心に寂しさが広がる。

兄が抱きしめてくれた時の、あの背中のぬくもりがなぜか忘れられない。

いずれはこの寂しさにも慣れなければいけないのに……。


自分はこんなにも弱い人間だったのだろうか……。

木葉は俯き、ぐっと唇を噛みしめた。


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