蜜色トライアングル ~Winter Blue
二章
1.兄の想い人
ある日の午後。
木葉は凛花とともに繁華街のレストランで食事をしていた。
和洋折衷のそのレストランは若い女性に人気で、二人も30分待ってようやく入店できた。
「なんか、暗いわね。どうしたの?」
凛花は味噌グラタンをつつきながら木葉を見る。
木葉ははぁと息をつき、この間あったことをざっと凛花に話した。
一通りの話を聞き終わった後。
凛花ははぁと息をつき、肩を竦めた。
「……ようやく思い出したのね、あんた」
「凛花ちゃんも知ってたの?」
「当たり前でしょ。でもまあ、これでようやく正常な状態になったって感じね」
凛花はスプーンを置き、付け合せのサラダをフォークでつつく。
木葉も和風ドリアを食べながら凛花を見た。
「……で。冬青や由弦は何か言ってきた?」
「由弦は……まだあれから会ってない。でも、お兄ちゃんは……」
木葉は言いかけ、口を噤んだ。
あのホテルでのことを言うのは、相手が凛花でもさすがに憚られる。
「お兄ちゃんは、これからも私のお兄ちゃんでいるって、言ってくれた」
「……へー。そうなんだ」