蜜色トライアングル ~Winter Blue
2.逃避行
一週間後。
木葉はキッチンで夕飯を作っていた。
今日のメニューはブリの照り焼きと煮物だ。
あとは漬物を出して……。
と、冷蔵庫を開けた時。
背後に視線を感じ、木葉は振り返った。
「……由弦?」
バイト帰りなのだろう、ジーパンにチェックのシャツを着た由弦がバックパックを背負ったままこちらを見つめている。
その瞳は昏く、何か言いたげに木葉を見ている。
「……っ」
なぜか背筋がぞくっとするのを感じ、木葉は目をそらした。
血が繋がってないと知ったからだろうか、なぜか由弦が別人のようにも見える。
「……なんで視線そらすわけ?」
由弦は言い、木葉の方へと近づいてくる。
思わず木葉は後ずさった。
――――怖い。
冬青は、血が繋がってないと分かっても怖いと感じることはなかったのに……。
俯きかけた木葉だったが、由弦に顎をすくわれ、顔を上げた。