蜜色トライアングル ~Winter Blue
「……っ、由弦……」
「オレ、木葉に何かした? そこまで怖がられる覚えはないんだけど?」
由弦は木葉の顔に自分の顔を近づけ、うっすらと笑う。
木葉の体は彫像のように固まった。
――――自分とは全く違う顔立ちに、大きな体……。
由弦とは血が繋がっていないことを痛感し、木葉の胸に悲しみと得体のしれない恐怖が湧き上がる。
「……っ、離して!」
木葉は反射的に手を振り切ろうとした。
その手を由弦ははっしと掴む。
「無理だね」
そのまま由弦は木葉の手を掴み、抱き寄せた。
もがく木葉の首筋に唇を寄せる。
チリッとした痛みとともに、木葉の白い首筋に紅い痕がつく。
木葉はゾクッと背筋を固まらせた。
「……っ、イヤっ!!」
木葉はどんと思い切り由弦の肩を突き飛ばし、走り出した。
キッチンを抜け、廊下を走り抜けて玄関を出る。
「おいっ!!」
後ろで由弦の声が聞こえたが、木葉は振り返らず玄関を飛び出した……。