蜜色トライアングル ~Winter Blue



「はぁ、はぁ……」


どのくらい走っただろうか。

夜闇に沈む公園の脇を歩きながら、木葉は夜空を見上げた。


――――怖かった。


これまで、由弦を怖いと思ったことなどなかったのに……。


「……っ……ぅうっ……」


目から涙が溢れだす。

……もう、家には戻れない。


家に戻れば由弦がいるだろう。

またあんなことになったら、どうすればいいかわからない。


「……お兄……ちゃん……」


冬青に、会いたい。

あの静かな瞳で、『大丈夫だ』と言ってほしい……。


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