蜜色トライアングル ~Winter Blue


凛花は昔の記憶を思い出した。


――――昔、木葉が小学校一年の時。

木葉が『三匹の子豚』の子豚役で学芸会に出ることになった。

『三匹の子豚』は三匹の子豚がそれぞれ藁や煉瓦の家を建てて、家を襲ってくる狼を撃退するという話である。

学芸会の後、『もし木葉がホントに子豚だったらどうする?』と清二が子供たちに聞いた時。

圭斗は『武器とか防具とかいろいろ用意して、狼をやっつける』と言い、

由弦は『木葉を連れて山へ逃げる』と言った。


「でもアイツ、何て言ったと思う?」

「……」

「『木葉を鉄の檻に閉じ込めて、誰にも手出しさせないようにする』って言ったのよ」

「……」

「冬青はその時、私と同じ小学校3年だったわ。普通そんなこと、考えもつかないわよ」


はぁと凛花はため息をつく。

圭斗は凛花の言葉にさーっと青ざめた。


「木葉だって普段は、例え相手が冬青でもそんなこと許す子じゃない。でも今は、心が弱ってるから……ひょっとして……」

「言うな、凛花。……まずは冬青を捕まえる。話はそれからだ」



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