蜜色トライアングル ~Winter Blue
23時。
コンコンというノックの音とともに冬青が戻ってきた。
革靴を脱ぎ、鞄を置いてネクタイを緩める。
だて眼鏡をしてはいるが、そうした姿は生来の美貌と相まってなんとなく色っぽい。
木葉は慌てて目をそらし、キッチンに向かった。
夕飯に作ったシチューを皿によそって冬青に差し出す。
木葉はもう食事は済ませていた。
「はい」
「……ニンジンが多い」
「好き嫌い言わないの!」
なんだかこうしているといつもの食卓のようだ。
しかし部屋の中には二人きり。
しかも兄とは血が繋がっていない。
兄には好きな人がいるとはいえ、なんだか意識してしまうのは木葉だけなのだろうか?
考えれば考えるほど深みに嵌まりそうな気がする。
木葉は慌てて言った。
「ところでお兄ちゃんはどこで寝るの?」
「床で寝る」
「は?」