蜜色トライアングル ~Winter Blue



冬青が仕事に行った後。

木葉は脱力してパイプベッドに凭れ掛かっていた。

あのペンションでもそうだったが、冬青は朝に弱いらしい。


「……」


今朝のことを思い出すと頬が赤くなる。

まさかあんなことになるとは想像もしていなかった。

けれど。


「……っ……」


――――優しい唇。


あの唇を思い出すと、嬉しさの半面、胸が痛くなる。

もう何年も一緒に居た兄なのに、自分の中にこんな感情が生まれるとは思ってもみなかった。


「お兄ちゃん、なのに……」


< 53 / 137 >

この作品をシェア

pagetop