蜜色トライアングル ~Winter Blue
「お前は、木葉の兄だろう?」
「……」
「例え血が繋がってないと木葉が知ったとしても、お前は兄だ。木葉がお前に寄せる信頼を裏切るようなことはするな」
「……」
「言いたいことはそれだけだ」
圭斗は言い、くるりと背を向けた。
そのまま夜闇の中へと歩いていく。
冬青はその背をじっと見つめていた。
圭斗の言うことは、正しい。
兄に徹さなければ木葉の傍にいることはできない。
しかし、兄でいることがこんなにも苦しい……。
冬青は夜闇の中、自分の心が理性と感情の間でひどく軋んでいくのを感じていた。
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