蜜色トライアングル ~Winter Blue
「……起きていたのか」
「お兄ちゃん、……頼むから服着て」
視線を逸らしたままの木葉を冬青はしばし見つめた後、手近に置いてあったシャツを引き寄せた。
冬青の動きに、甘いサンダルウッドの香りが木葉の鼻先にふわっと香る。
「……」
怜悧な美貌に、この体格。
この香り。
――――兄が本気になった時、落ちない女がいるのだろうか?
やがて冬青は木葉に向き直り、テーブルの前に座った。
「起こしたのなら、悪かった」
「ううん、大丈夫。私、お兄ちゃんに言いたいことがあって……」
木葉が言うと、冬青は首を傾げた。
「なんだ?」
兄は静かな目で木葉を見る。
いつもの冷静で涼しげな瞳に、胸がズキンと痛む。
私はいつのまに、こんなに好きになったのか……。
胸の痛みを感じながら、木葉は口を開いた。