蜜色トライアングル ~Winter Blue



冬青の冷静な声が木葉の胸に痛みとともに染みていく。

痛みに耐えられなくなり、木葉はとっさに腰を上げた。

そのまま腕を伸ばし、横から冬青に抱き着く。


それは木葉自身、予想もしない行動だった。

心の痛みに突き動かされ、木葉は冬青の腰にぎゅっと抱き着いた。


「……っ、木葉……」


木葉の腕の中で冬青は固まっている。

木葉は兄を離すまいとするように、腕に力を込めた。


「わたし……わたしはっ……」

「……っ」

「……わた……し……っ……」


冬青の温かさに触れた瞬間、胸がいっぱいになり言葉が出てこない。

木葉は冬青の腰に手を回したまま冬青の二の腕に額を押し付けた。


冬青は固まったまま、何も言わない。


「……っ、お兄ちゃん……わたし……」

「……木葉……」


冬青は木葉の腕の中で固まっていたが、やがて腕を上げて木葉の手を掴んだ。

包み込むように、ぐっと掴む。

……その手は、かすかに震えていた。



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