蜜色トライアングル ～Winter Blue

兄はなぜ自分を抱いたのか……。

凛花の話では、兄は『好きな人以外は生理的にムリ』らしい。

自分はずっと妹として傍にいたから、生理的に大丈夫だったということなのだろうか?

好きな人の、かわりに……?


「そんなことっ……」


……ぽたりと涙が落ちる。

耐えられない。


夢うつつの中、『愛してる』と聞いた気がする。

それは木葉に対してではなく、別の人に言ったのだろうか?


わからない……。


木葉は涙をぬぐい、立ち上がった。

ユニットバスに入り、シャワーを浴びる。

体にほんのりと残っていた甘いサンダルウッドの香りが、シャワーに流され消えていった。