蜜色トライアングル ~Winter Blue



「兄貴、自分がやってること、わかってるのか!?」

「ああ」

「木葉も承諾してるっていうのか!?」

「……ああ」


どこまでも冷静な冬青に、由弦は怒りを隠せない。

冬青はそんな由弦を見つめ、静かな声で言った。


「……木葉はもう、帰らない」

「なんだよそれ!? 納得できるワケねえだろっ」

「お前が納得するしないは関係ない。もう決めたことだ」


冬青は冷静な声で続ける。

冬青のあまりの言葉に、由弦の顔は怒りを通り越して真っ青になっていく。


「親父には何て説明すんだよ?」

「落ち着いたら説明する」

「落ち着くって。何がどう落ち着いたらだよ……」


由弦は呆然とした表情で言う。

冬青は話は終わったとばかりに竹刀に視線を戻す。

その横顔を見、由弦は冬青に飛びかかった。


「待てよ、兄貴っ」


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