蜜色トライアングル ~Winter Blue



思うに、男ですらひれ伏す冬青のカリスマ性である。

女に対しても何もない訳がない。

ましてやそれが一人の女に向けられた時、その女はどうなるのか?


――――身の破滅。


そんな言葉が脳裏をよぎる。


「……っ」


木葉は慌てて頭を振った。


兄には好きな人がいる。

自分は身代わりに抱かれているだけだ。


でも自分なら、例え身が破滅しても構わないのに……。


冬青が望むなら何だってできる。

なのに兄の心には別の人がいる。

木葉は目頭にこみ上げた涙をぐいと拭った。

……考えれば考えるほど、心が軋んでいくような気がした。


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